メレ山メレ子さんの、『ときめき昆虫学』です。
表紙を見ただけで、「うわっ!」となってしまう方もいるかも知れません。
そう、表紙は、蛾(おカイコさん)です。
でもそこはメレ山さん、まるでウサギかモルモットかのようにもふっとした写真に仕上げ、フサフサと、表情の凛々しさ、堂々とした触角を見事に捉えておられます。
もしかしたらこの写真を見て、「蛾って苦手だったけど、もしかして、虫ってかわいい?orかっこいい?」と視点が変わるかも知れません。いい写真です。
独特の描写力で、みずみずしく虫との出会いを書いておられます。
あまり詳しく書くと、せっかくのとんでもない面白さが薄まってしまいそうなので、さらっとご紹介します。
冒頭はチョウのお話。
渡りをするチョウ、アサギマダラを見に行く旅から始まります。素敵な写真とワクワクする文章でどんどんメレ山ワールドに引き込まれます。
アサギマダラはフィールドで出会うと必ず場が盛り上がる、チョウ界のアイドルです。
その優雅で涼しげな見た目といい、長距離を旅する習性といい、力強い飛翔といい、フィールドでの虫人気ナンバーワンですね。
ハチ、アリ,クモ、ホタル、、、あたりまで読み進めると、もう中毒のようなもので、
どんどんのめり込んで行きます。
あやうく通勤電車で乗り過ごしそうになりました。夢中になり過ぎ注意です。
もう表紙からメレ山語録が目を引きますが、私のお気に入りをいくつか。
「わたしは今、水の上を歩く方法を訊いたら『右足が沈む前に左足を出すんだよ』と言われたときの顔をしています」
「すてきな虫」を入れる箱
「オ・イ・シ・ク・ナ・イ・ヨ」
恐怖のセミファイナル、
「お前も特製ソースをかけてグリルしてやろうか」
詳しく書けないのがもどかしい!!
ぜひ読んで共感して下さい。
ビールを飲みながらライトトラップに虫が集まってくるのを待ち、ウェーダー(胴長)に憧れ、日本を飛び出しわざわざダニやバッタのためにドイツやマダガスカルへ飛んで行く。
この全てを楽しむ姿勢、この純粋さ、この行動力、全てに感服です。
十分の一でもいいから分けて頂きたい。この本の見どころのひとつに、扉絵があります。
扉絵と言っても各章で語られる虫をモチーフにした、メレ山さんのアーティスティックな写真です。これはもう文字では言い表し難い妙、これぞ絶妙です。いちいちステキでかわいい、見てて楽しい。
挿し絵(写真)も豊富で、どれもほぼ虫の写真ですが、193ページのマダガスカルトノサマバッタを持つメレ子さんの何気ない優しい表情が本当にステキで、この写真が個人的に一番のお気に入りです。
明るく楽しく、ちょいちょい虫の生態情報を絡めて綴られるメレ山ワールド、この世界を是非味わって頂きたい。
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