今回はデクスター・ゴードンの『ゴー』です。
だじゃれではありません、いや、だじゃれなのか?
このアルバムが録音されたのが、1962年ですので、かれこれ40年以上も前のことです。だじゃれかどうかはそっと置いておきまして、私の大好きなアルバムです。
テナーサックスを吹いていて、もしくは聴いてみたい、という方で、コルトレーンは聴いてみた、ソニーロリンズも聴いてみた、次は誰を聴こうか、となった方にオススメなのが、デクスターゴードンであり、『ゴー』なのです。
コルトレーンを初めて聴くなら、『ブルートレイン』
ロリンズを初めて聴くなら『サキソフォンコロッサス』
デクスターゴードンを初めて聴くなら『ゴー』です。
むしろテナーサックスを手にしたその時に、これからジャズテナーを聴いてみようかな、と思ってしまったその時に、これら三枚のアルバムを手にすることはすでに決まっています。
それくらい偉大なアルバムです。
パーソネルは
デクスター・ゴードン(テナーサックス)
ソニー・クラーク(ピアノ)
ブッチ・ウォーレン(ベース)
ビリー・ヒギンズ(ドラムス)
これもサックスとピアノ、ベース、ドラムスのカルテットですね。
非常にバランスのよい、これぞテナーカルテット!というサウンドを聴かせてくれます。
デクスターゴードンのアルバムはどれもそうですが、このアルバムはお隣さんにご迷惑をおかけしない程度に音量をちょっと上げて聴きたいですね。
1曲目「チーズケーキ」からデクスター節全開です。
この曲を聴くためだけにこのアルバムを買っても後悔しないと思います。朗々と、逞しく、テナーサックスここにあり、デクスターゴードンここにあり!!
というカッコいい曲ですが、他のプレイヤーもなかなかいい仕事してます。
これぞハードバップ!これぞテナージャズ!!
2曲目「アイ・ゲス・アイル・ハング・マイ・ティア・アウト・トウ・ドライ」
タイトルが長いですが、「涙が乾くまで」と訳されますが、切ない失恋の歌ですが、失恋に負けない、前向きな強さのある歌です。デクスターゴードンはまるで失恋した彼女を優しく、ここでも逞しく励ますかのように、
堂々と、たっぷりと歌っています(もちろんテナーで)。
3曲目「セカンド・バルコニー・ジャンプ」
軽快なジャンプナンバーをデクスターゴードンはユーモアたっぷりに、時にスリリングに演奏してくれます。サビの部分でのアプローチはさすが生粋のバッパーであるところを聴かせてくれます。チャーリーパーカーのような裏コードが満載ですが、自分なりの歌い方で盛り上げてくれます。エンディングがまたユーモラスですが、忘れた頃に効いてきます。4曲目「ラブ・フォー・セール」名演ベスト5に入ります。
名作曲家コール・ポーターの作曲で、ミュージシャンにもリスナーにも人気の曲です。数多くのジャズミュージシャンが演奏している「ラブ・フォー・セール」ですが、テナーサックスで演奏されたものでは、スタンリー・タレンタインの「アップ・アット・ザ・ミントンズ」での演奏と本アルバムでの演奏が双璧と思います。こんな風に吹けるようになりたい。。。
ビリーヒギンズのリム打ちが心地よいですね。デクスターゴードンも軽快に吹いています。デクスターゴードンはラテンのリズムにノって来ると、装飾音符を使い始めます。
装飾音符が出てきたら、「お、エンジンかかってきたな」と思ってよいです。
5曲目「ウェア・アー・ユー」
実はこの曲、先日ご紹介しましたソニーロリンズの「ザ・ブリッジ」にも収録されている曲です。2枚ともお持ちでしたら改めて聴き比べて頂くと、ジャズテナーの渦に飲み込まれる事間違いないと思います。奇しくもどちらも1962年の録音というのだから聴き比べない理由が見当たりません。6曲目「スリー・オクロック・イン・ザ・モーニング」
朝の3時、という曲ですが、どうやらそんな時間まで踊り明かしてしまうほど楽しい曲のようです。リラックスしたミディアムテンポの明るい曲です。イントロとエンディングにチャイムがなりますが、このアルバムはこの曲が最後、楽しかったひとときも、このチャイムでおしまいです。チャイムがなり始めたら、お別れの時間が迫ってきた合図。じっくり彼らの演奏を噛み締めながら聴きましょう。そうすれば最後までデクスターゴードンはデクスターゴードンらしいテナーサウンドを聴かせてくれます。最後のチャイムがなんとも寂しいですね。ずっと聴いていたいアルバムです。
・・・最後に「チーズケーキ」だけもう一回聴いてから寝ます!!
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