2016年7月29日金曜日

【タワー・オブ・パワー】バック・トゥ・オークランド

ウミネコプラズマンのサックスナビ第九弾は

タワー・オブ・パワーの「バック・トゥ・オークランド」です。


これまでサックスが活躍するジャズを紹介してきましたが、今回はファンクバンドです。
個人的にはブラスロックとして「シカゴ」や「ザ・チェイス」、「ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ」などをひとくくりにして聴いています(タグもブラスロックにしています)が、正確なジャンルはファンクなのだそうです。
タワーオブパワーのベストはライブ盤だと思いますが、今回はこちらを。

ファンクもサックスがよく活躍するジャンルですが、ジャズ屋はなかなか手を伸ばしづらく、フュージョンは聴くのに、ファンクやロックなんて邪道だ、と誰がいいだしたか知りませんが、そんな風潮があり、私がタワーオブパワーを聴き始めたのも大学のビッグバンドを引退した後でした。
ジャズと黒人の歴史を知りながら、ジャンルがファンクだから、といい音楽との出会いを避けていたなんて、今思うとなんてもったいないことをしていたのでしょうか。


オークランド・ストローク...

タワーオブパワー結成の地、オークランドの一撃、オークランドのファンクメンが強烈なアルバムをお見舞いするぜ!!といったところでしょうか。アルバムのオープニングを飾るナンバーです、このノリがジャズ屋には難しいんですよね、実は。威勢のいいテナーサックスソロがコンパクトに終わると、トランペットソロの途中でフェードアウトしてしまいます。事の真相はまたあとで。

ドント・チェンジ・ホース

これぞファンクビート、なダラダラナンバーです。
馬を変えるなよ、と言う曲名ですが、よく聞くと「ハイヨーシルバー!!」なんて歌詞が聞き取れます。英語だとこんな発音なんですね。もちろん馬のイナナキはトランペットです。
アンサンブルはロングトーンが多いので、ダイナミクスの作り方が良くわかります。
あえてフォルテシモまで大きくしないのがファンクっぽいですね。

ジャスト・ウェン・ウィ・スタート・メイキン・イット

「 今からが最高」と訳されていますが、タイトルに違わず輝きのある曲です。
70年代っぽいサウンド、とはこの事だと思います。スティーヴィーワンダーっぽい、と言えば伝わるでしょうか。リラックスしていながらもリッチで自信に満ち溢れていて、でもどこかブルージーで物寂しい、夕焼けが良く似合う曲です。
間奏もここは泣きのアルトサックスです、カッコつけすぎでシビれます。

キャント・ユー・シー
目立たないですが、ストリングス入りの軽快な8ビートナンバーです。
ここではホーンセクションは裏方さんです。

スクウィブ・ケイクス
この曲を聴くためにこのアルバムを買う価値があります。
バリトンサックスによるイントロはタワーオブパワーならではのサウンドですね。
ギター、トランペット、テナーサックス、オルガンとファンクにおけるアドリブソロのお手本が聴けます。ベストソリストはオルガン!!カッコいい!!こんな風に弾いてみたい!
サックスじゃないのかよ!と言われそうですが、オルガン、カッコいいですよね。ジミー・スミスとかラリー・ヤングとか、大好きです。ヴィブラフォンとは違う、ホットでグルーヴィな音がたまりませんね。テナーとの相性もいいですよね。
そんなジャズでもファンクでも大活躍なオルガンの演奏も楽しめる、良い曲です。
アドリブソロを聴かせる曲なので、ライブでやりたくなるのでしょう。動画サイトで検索するとヒットします。こちらも必聴です。

タイム・ウィル・テル
ブルージーなピアノとオーケストラにホーンセクションが絡む、豪華なアレンジのミディアムナンバー優雅なストリングスとパワフルなホーンセクションとの対比が美しいです。フェードアウトで終わってしまうのがちょっともったいないです。

マン・フロム・ザ・パスト
ゆるーいファンクビートにホーンセクションが冴えます。
この曲はアンサンブルだけですが、アレンジは見習うべきところがたくさんあります。
じっくり聴いてみて下さい。

ラヴズ・ビーン・ゴーン・ソー・ロング

8ビートのミディアムバラードです。
CMで使用されたこともあるキャッチーな曲です。晴れた土曜の午後、景色のいいカフェで聴きたい、いい脱力感が魅力です。
ここでもアルトサックスのソロがシビれますね。まさにこの曲のスパイスになっていると思います。

アイ・ガット・ザ・チョップ

直訳すると「チョップ喰らっちまった」と言ったところでしょうか。
元気のいいノーテンキナンバーです。よく晴れた夏の日差しを思わせるホーンセクションとリズムセクションの掛け合いが楽しいですね。

ビロウ・アス,オール・ザ・シティ・ライツ

「なつかしき街の灯」と訳されています。
どこか物憂げで、雨のニューヨークをイメージしてしまう(超個人的感想ですが)様な曲です。
ストリングスが入るこの曲でもホーンセクションはアンサンブルで裏方に徹していますが、少しだけソプラノサックスが出てきます。これがまた淋しげでいいんです。ホントにちょっとしか出てきませんので聴き逃さないように気をつけましょう。

 ...オークランド・ストローク

アルバム冒頭と同じ曲です、というか続きです。トランペットソロの途中から始まってテーマに戻ってフェードアウト、つまりこの曲に挟まれて、アルバム全体が構成されています。
でもなんで冒頭にまるっと一曲にしなかったんでしょう。カッコいい曲なんですけどね。

つまるところ、このアルバムすべてがオークランドのファンクメンが繰り出す会心の一撃、なのでしょう、その名に恥じないいいアルバムだと思います。もしかしたらオークランドストロークは、オークランドのひととおり、で、誰かの思いでをアルバムの曲になぞらえて並べているのかも知れません、まぁ、結局ノリノリのファンクで始まって、ファンクで終わるので、音楽大好き人間のエピソードに違いないと思います。

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